vol.29

「研究会で学んだこと」

今年度5例目の院長・事務長総看護師長推薦の記事で、今回は緩和ケア科部長先生の記事です

「5月19日に死の臨床研究会中国・四国支部大会が岡山で開催されました。
4年ぶりの対面開催で、事例発表では終了時刻から大幅に時間が超過するほど、質疑応答や意見交換が活発となりました。
死の臨床研究会はコメディカルの発表が多く、ケアに困った事例や悩んだ事例、こういったらうまくいったよ!みたいな、ヒントをくれる発表が多いところが大変勉強になります。
今回も発表を聞きながら「こういうこと、あるある!」とか「あ、これあの患者さんと状況が似ている」とか、受け持ち患者さんと重ねながら聞いていました。
そして参加者みんなが悩んでおり、苦しい思いをしているのは自分だけではない、と感じ、明日からも頑張ろう!という気持ちになりました。

また午後からは「ぼけますから、よろしくお願いします。」というドキュメンタリー映画監督の信友直子さんが、認知症の母を通して家族が教わったこと、を講演してくださりました。
「認知症であっても全てわからなくなっているわけではない。嘘をつかれたことはわかっている。嘘をつかないでほしい」と言っていた言葉が印象的でした。
また胃ろう造設の治療選択が正しかったのかを今でも悩んでおられ、「母が元気な時、意思表示ができる時に、母の生き方や価値観がわかるようなことを聞いておけばよかった」との後悔も話されていました。

私の両親も高齢になってきました。
最期の迎え方や終活についても考えているようです。
両親に改めて問うというよりは、何気ない会話の中から父や母が大切にしたいことや気持ちをキャッチして、それを逃さずいろいろなことを話してもらおう、と思いました。
援助的コミュニケーションのスキルが活かせそうです。」