vol.48

「伝えることの大切さ」 緩和ケア病棟看護師

今年12例目の院長、事務長、総看護師長推薦の発信賞に輝いた記事です

私は音楽を聴くことが好きで、ちょっと隙間時間があれば好きなアーティストの曲を聴いています。
その中で、あるバンドボーカルががライブMCで言っていた言葉があります。

「言葉はどんどん死んでいきます。思った瞬間に口にしないと鮮度が落ちて腐っていきます。明日言おうじゃなくて明後日言おう、来月言おう再来月、来年なんていうことをずっと待っていたら一生言葉なんて伝えられずに終わってしまう。その瞬間をこの時間で経験してきたからこそ言わなきゃなって思いました。」
この言葉を聞いて私は、ちゃんと言葉にして大事なことを伝えてきただろうかと思ったのと同時に、このコロナ渦で亡くなった祖父母が浮かびました。

小さいときには祖父が通っていたリハビリに一緒に行ったり、祖母と畑仕事や料理を一緒にしたりと一緒に過ごす時間が長く電話でもよく話をしていました。
何でも器用にこなす祖父や料理の知識が深い祖母のことが大好きで、今でも誇りを感じています。
その祖父母に「ありがとう」と感謝の言葉を伝えてきましたが、あれも言えば良かった、これも伝えたかったなど亡くなって数年経つ毎にその思いはどんどん膨らんでいます。
その時にこの言葉に出会いました。

5病棟では最期を迎える方が多いですが、日々の中でもご家族様が後悔しないよう患者様に言葉をかけてあげられるよう、またその逆で患者様自身が伝えたいことをご家族様がキャッチ出来るようスタッフが気にかけることも大切な看護だと感じます。

言葉を伝えないで後悔してしまう、そんな気持ちにさせないよう患者様と家族様双方を気にかける看護をしていくと同時に、スタッフにも良いところや感謝の気持ちを言葉にして鮮度が落ちない「今」という瞬間にどんどん伝えていきたいと思います。