院長・事務長・総師長推薦の「発信賞」に輝いた内科・家庭医科医師の記事です。
「先日、学生のイベントで広島に行ってきました。
久々に平和記念資料館を訪れ、語り部の方の講話を拝聴しました。
資料館の展示が以前とは違っていて、遺品に淡々とした説明文を添えるものが多く、こちらの想像力を掻き立てるような展示になっていました。
小さい子供の遺品や遺影などは子供ができてから見ると込み上げるものがありました。
また語り部の方の講話は95歳というお歳を感じさせない、圧倒の90分間でした。
「しっかり平和をつかまえておくように」というメッセージを頂きました。
学生たちも平和を守る気持ちを高めたようで何よりです。
実はこのような活動にも課題はあります。
「平和学の父」と呼ばれるヨハン・ガルドゥングによると「積極的平和(positive-peace)」と「消極的平和(negative-peace)」があり、今回のような活動は後者に相当します。
つまり何かへの拒否・抵抗であり、視点は現在と過去に向いており、人々の共感を呼びにくく避けられやすいという特徴があります。
一方の「積極的平和」は対話・共感を軸に対立を解消するというもので、視点は未来に向かっています。
この二つは同様に重要なのですが、消極的平和の視点から語られることが多い様に感じています。
「戦争反対」は正しいメッセージなのですが、それだけでは十分ではないのです。
というわけで平和学の勉強をしているので、いずれ何かの形でお伝えできればと考えています。」