vol.82

「真の平和とは」 医事課事務

私は以前、ニューカレドニアという太平洋に浮かぶ小さな島国を訪れました。

その美しい海と穏やかな自然、現地の人々の温かさに触れ、旅の間まるで夢の中にいるような気分で過ごしました。
しかし、その穏やかな風景の裏側には、フランスによる長い統治と、それに対する独立を求める強い動きが存在していたのです。

昨年、この島では独立を目指す運動の中で暴動が発生し、現在も外務省の渡航危険レベル2の状態が続いています。
私は旅人として一時の平和だけを経験しましたが、現地の人々は長い歴史の中で誇りと苦難を抱えながら日々を生きていることを思い知らされました。

私たちが「平和」と聞いてまず思い浮かべるのは、戦争や争いのない状態かもしれません。
しかし、真の平和とは単に争いがないだけでなく、そこに暮らす人々が自分たちの歴史や文化を尊重され、誇りを持って暮らせる環境を築くことだと、この経験から感じました。

旅の思い出と現実の間で揺れ動いた心は、平和を維持し、深めていくことの難しさと重要性を改めて教えてくれました。
私たち一人ひとりが、異なる価値観や歴史に目を向け、尊重し合うことが、持続可能な平和への第一歩ではないでしょうか。