vol.117

「メモを通して広がるご家族との信頼関係」 緩和ケア病棟看護師

院長、事務長、総看護師長推薦の「発信賞」に輝いた記事です。

「80歳代男性患者さまが入院しておられました。
入院したときから娘さまやお孫さんが面会に来られており、家族関係は良好でした。
病室にはお孫さんのお手製の本人を模したぬいぐるみ(かなりそっくりでした)を壁にかけていたり、傘寿のお祝いメッセージカードを飾られていたりと、とてもほっこりと心が温かくなるお部屋でした。

ある時から、スタッフの提案でメモ帳を活用した家族とスタッフ間のやり取りが始まりました。
メモ帳には本人のこれまでの様子やご家族との関係性が記されており、またスタッフへの感謝の言葉も多く見られました。
この取り組みによって、患者さまだけでなくご家族の思いにも触れることができ、より個別性のある関わりに繋がったと感じて、提案をしたスタッフの働きかけが素敵に思いました。
また長女さまから「ちょっと、主任さん。父がこんなこと言ってて面白かったから書き留めてみました。読んでみてください」と話され、一緒に読んで笑うこともありました。
こうした関わりを通してご家族との距離が縮まり、信頼関係の構築に繋がっていると感じました。
検温時に病室にあった羊のぬいぐるみ(名前はヒコベエ)が壁に飾られており「可愛いですね」と長女さまに声かけると「実は後ろを見てほしいです」と話されひっくり返すと「TO.HEIWA DR.NURSE THANK YOU」とスタッフへの感謝の言葉の文字がフェルト生地で縫われていました。日々のスタッフの関わりが患者やご家族に届いているんだなと実感する出来事でした。

医師も含め病棟スタッフ一人ひとりが患者様やそのご家族の思いに寄り添いながらケアを行っていることを強く感じ、このような関わりが安心感や信頼に繋がっているのだと実感し、一スタッフとして、主任として嬉しく思いました。

その後、その患者さまはご逝去されました。
ご家族からの希望もあり、退院するその時まで患者とご家族が一緒にラウンジから外の桜を眺めて過ごしていました。
遠くから見ていても、ご家族の温かい雰囲気が伝わってくる印象な場面でした。
また、お見送りの際にもご家族よりスタッフへの感謝の言葉をいただき、最期まで信頼関係が築かれていたことを感じました。
これらは日々のスタッフの関わりが患者さまやご家族にとって良いものであった証なのではないかなと思いました。

今回の関わりを通して、患者さまだけでなくご家族のケアの重要性を改めて学ばせてもらいました。
今後も家族の思いに目を向けて、安心して過ごせる環境作りにスタッフ一丸となって努めていきたい所存です。」